スペシャルインタビュー

敬・信・愛に基づく「芳山教育」を実践する伝統校「郡山市立芳山小学校」

1900(明治33)年に創立の「郡山市立芳山(ほうざん)小学校」は、郡山の市街地で120年以上の歴史をもつ市内有数の伝統校だ。周辺に教育施設も多い文教エリアに位置し、「敬・信・愛」に基づく「芳山教育」を実践している。市の中心部近くにありながらも落ち着きのある地域環境、その両面から恩恵を享受する。今回はそんな同校の歩み、教育活動、特色ある取り組みなどについて大知里重政校長にお話をうかがった。

1900(明治33)年に創立の「郡山市立芳山小学校」
1900(明治33)年に創立の「郡山市立芳山小学校」

創立から120年以上の歴史と、「芳山教育」の理念と共に歩む

――まずは、貴校の今日までの沿革について教えていただけますでしょうか。

大知里校長先生:本校は、「安積郡郡山町立第二尋常高等小学校」として、現在の「芳山公園」がある場所で女子校として開校しました。1925(大正14)年、「郡山市立郡山第二尋常高等小学校」に改称し、1928(昭和3)年からは男子の受け入れが始まりました。そして「郡山市立芳山国民学校」への改称を経て、現在の「芳山小学校」の校名になったのは1947(昭和22)年のことです。2020(令和2)年には創立120周年を迎えました。

1984(昭和59)年から始まった学習指導法研究自主公開は今年で39回目を迎え、これまで数多くの研究論文が入賞しています。

お話いただいた大知里重政校長先生
お話いただいた大知里重政校長先生

――続いて、現在の児童・学級数や、校舎・設備の特色について教えてください。

大知里校長先生:2022(令和4)年現在の児童数は298名で、通常学級は12、特別支援学級は2、そして通級学級1を加えた15学級編成となっています。地域で親子3代で通っているというケースも珍しくない本校ですが、その一方で、新しく移り住まれた方も多く、双方がほどよく調和しているといった印象です。

校舎・設備の特色としては、障がいのある児童のためにエレベーターが設置されていることが挙げられます。エレベーターを設置している公立の学校というのは市内でも珍しいです。

「郡山市立芳山小学校」校舎外観
「郡山市立芳山小学校」校舎外観

―ー貴校が独自に掲げる「芳山教育」の理念についてお聞かせいただけますでしょうか。

大知里校長先生:まず、「芳山教育」の要となるのが「敬・信・愛」です。これは「年上の者は年下の者を慈しみ愛し、年下の者は年上の者を信じて敬う。これが教育の営みによって、社会の永遠の平和を希求する子どもを育てる」という意味の理念で、本校のすべての教育活動の根底にあります。この教育理念を掲げ、自由な気風のなかにもこれまで重視してきた心の教育を受け継ぎ、「豊かな心とたくましい体をもち、創造性あふれる芳山の子ども」という教育目標の実現を目指して取り組んでいます。

教育理念の根底を支える「敬・信・愛」の書も飾られている
教育理念の根底を支える「敬・信・愛」の書も飾られている

異年齢活動「かおりのきょうだい」や学び合いの授業が心を生む

ーー「芳山教育」に基づいて取り組む、異年齢教育「かおりのきょうだい」についても聞かせてください。

大知里校長先生:異年齢教育「かおりのきょうだい」の活動は1988(昭和63)年に始まった、1~6年生のたてわり班で行う教育活動です。開始当初は、6年間継続したメンバーでの班だったのですが、現在は毎年ごとに再編成しています。6年生をリーダーとする各班は様々な活動をしており、例えば月2回の「ふれあいタイム」では、子どもたちが主体的に何をするか話し合い、その決定に基づいた活動を行っています。

他にも、近くの「開成山公園」まで行って活動する「かおりのピクニック」、校舎内のチェックポイントを回る「かおりのウォークラリー」などもあります。子どもたちは上級生を見て育ち、また自分たちが上級生になったら下級生を見る。このように学年ごとの学びを得ながら、子どもたちは成長していきます。

「かおりのきょうだい」を象徴するかおりの姉妹像
「かおりのきょうだい」を象徴するかおりの姉妹像

――授業の質や、子どもたちの学習向上のために力を入れていることや工夫していることはありますか。

大知里校長先生:子どもたちは、聴き合い、伝え合い、つながり合うことで学んでいます。そこで、魅力的な「対象」のおもしろさや、仲間の気付き、自分の学びの確かさを感じとることが、次の学びに向けて動き出すための大きな原動力となります。子どもたちはそれを少しずつあじわうかのように「自分事」としてとらえていく姿を大事にしています。分かりたい、できるようになりたい、もっとやりたい、子どもたちは、そのような思いを抱くことで「対象」と「仲間」とのつながりを求めていきます。つながることで思いがより豊かなものとなり、動き出したその先にある様々な場面での響き合う学びにつながる姿を求めて、「学びを照らす」「学びが見える」「学びがつながる」の3つを手立てとして授業づくりに取り組んでいます。

教育活動に対し表彰もされている
教育活動に対し表彰もされている

また、学期ごとに1度、全教員が授業研究を実施し、校内で研修できるような体制にしています。その成果は、毎年1月に研究発表会という形で全国に公開させていただいています。指導力を高めるためには、なかなかいい機会ではないかと思います。

さらに近年、「教科担任制」という言葉をよく耳にするようになりましたが、本校でも可能なところから動き始めており、教務による分科、学年の先生方による交換授業を行っています。子どもを知り、気にかけるという意味では、複数の教員がさまざまな学級に関わることは、学習指導面だけでなく生活指導面でも大きなメリットがあります。さらに教材研究時間の短縮により、働き方改革にもつながります。

校庭の遊具
校庭の遊具

「特設合奏部」は全国で活躍、さまざまな課外活動も成長の場に

――「合奏部」が色々なコンクールなどで活躍されているようですね。貴校の特色のある課外活動や行事についてもご紹介ください。

大知里校長先生:本校には、放課後に活動する「特設運動部」と「特設合奏部」がありますが、昨年度は、この合奏部が「日本学校合奏コンクール グランドコンテスト全国大会」に初出場し金賞を獲得。さらに、全国3位相当の「千葉市教育長賞」も受賞しました。子どもたちの努力や、自分だけでなく仲間とともに上手になろうという向上心、集中力、本番での強さ、すべてに感心しました。

児童の活躍に贈られたトロフィーや盾が飾られている
児童の活躍に贈られたトロフィーや盾が飾られている

課外活動というところでは、故郷の山や自然に触れてもらうために、学年ごとに「一切経山(いっさいきょうざん)」や「安達太良山(あだたらやま)」など代表的な山々に登る「ふるさと登山」を実施しています。それ以外では、「かおりの運動会」、音楽や演劇の発表などを行う文化祭「かおりのフェスティバル」、野外でレクリエーションを行う「かおりのウォークラリー」、徒歩圏内の「開成山陸上競技場」で行う「マラソンフェスティバル」など、多岐に渡っています。

周囲は市街地ならではの環境も魅力の文教地区

――地域との交流・連携や、郡山の中心街ならではの環境を生かした教育活動などはありますか。

大知里校長先生:3年生の社会科の学習として、郡山市の商店街の有志で結成されたローカルヒーロー「商店ガイレンジャー」を招き、色々な仕事体験をさせていただいています。写真館、電気屋、花屋、文房具屋など、さながら“ミニキッザニア”のような取り組みです。また、通りを挟んで「郡山市立郡山第二中学校」があることから、6年生の一日体験入学や教材物品の借用など様々な交流もあります。

――学校周辺の環境について、どんな点が魅力だと思いますか。

大知里校長先生:本校は「郡山」駅と「郡山市役所」のほぼ中間に位置し、商店街を中心に中学校、高校がある文教エリアにあります。周辺には「麓山公園」や「21世紀記念公園 麓山の杜(はやまのもり) 」、「開成山公園」があるなど、緑が多く、落ち着いた環境が広がっています。

「21世紀記念公園 麓山の杜(はやまのもり) 」
「21世紀記念公園 麓山の杜(はやまのもり) 」

郡山市立芳山小学校
郡山市立芳山小学校

郡山市立芳山小学校

大知里重政先生
所在地:福島県郡山市長者2-8-24
電話番号:024-932-5293
URL:https://www2.schoolweb.ne.jp/swas/index.php?id=0710005
※この情報は2022(令和4)年12月時点のものです。